第82話:感覚の量産はできない
〜 回想・2005年初頭 パイプロイド誕生秘話 〜
「内職さんに生産をお願いしてみよう!」
その方向で進む事になって数日。
既につながりのあった内職さんとの連絡もとれ、
あとは生産するだけ、という体制は整いつつあった。
だが、まだ1つ問題を抱えたままな部分が。
それは「穴開け」部分。
僕が試作をする段階では、実は僕の「職人芸」で穴を開けていたといっても過言ではない。
何故なら、穴開けのためのマークは、
パンチに差し込んだ時点で見えなくなってしまうからだ。
「だいたいこのくらい奥に差し込んだら」
「左右の模様がだいたいこのくらいの時に」
こういうアナログな「感覚」を頼りに穴をあけていたのだ。
感覚を共有するのは、非常に難しいこと。
「いい具合に差し込んで」「だいたいこのくらいで」
というアナログなニュアンスを、がんばって1人2人には伝えることは出来ても、
100人に伝えることは全くもって不可能である。
いや、1人2人にだって、正確に伝えることは不可能だろう。
もしかしたら流動的になるかもしれない内職さんたちに、
毎回ニュアンスを説明するというのは想像するだに恐ろしい。
「こうして、こうして、こうすると出来ます」
手順を伝えれば、目的のものが出来上がってくる、
そういう『冶具』が必要になってくるのだ。
ここで、またその開発に時間をとられることになった。
*この話はパイプロイドの初期の開発の回想です
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