〜 回想・2005年初頭 パイプロイド誕生秘話 〜
パイプロイドは、メモホルダーにもなる。
侵略の機会をうかがうため、メモホルダーとして
人間社会に侵入しているという設定だ。
何なんのことはない設定に思えるし、
まあ実際なんのことはないのだが、
これがあるのと無いのとでは、だいぶ違っていただろうなと思う。
今回は、パッケージの話からちょっと戻って、
そのメモホルダーに至るまでの話。
「パイプロイドは、大人向け工作」として社内でもなんとなく定着しつつあったんです。
ひねもすのイベントで、「大人も工作がしたい!と思っている」という事は他のみんなも感じていたし、またひねもすそのものの分かりにくい部分を、スマートに伝えられるアイテムが待ち望まれている状態でもあったので。
でも、僕らは大人向けの商品を正直売った事が無い。
どこで売れば良いのか?それすらも分からない状態だったんです。
いろんな不安が折り混ざって、社内から出てきた意見が
「何か足らない」だったんですね。
「売ってみなきゃ分からへんやん!!」とは言うものの、
売るためには作らなければいけない。
作るためには会社からお金が出なければいけない。
そのためには、会社を説得しなければならない。
つまり、結局のところこの噴出した不安を解決しなければ前に進めない状況だったんです。
確かに自分としても、フィギュア的にするには物語などの背景が弱い。
造形だけでいくにも、「作る」というハードルを越えてもらえるか分からない。
確かに不安はあった。
でも、何かを付け足していくというのは、絶対に良くない。
ものすごく安易な解決策なんですよそれって。
造形でもそうなんだけど、考えて考えてそぎ落として物の本質を捉えるのって大変で、だったら勢いでもっとがんがん粘土付け足していこう!みたいなことって結構あるんですよね。
インテリぶって考えるよりも、考えずに体でぶつかっていくほうがかっこいい、みたいな。
そんな世界はあっても良いんだけど、パイプロイドに勢いで一体何を足していったら良いというのか。
羽根がさらにつくとか?
もっと本数を増やして、関節をふやすとか?
いやいや。
パイプロイドのコンセプト、
「単純なパイプからロボットが出来上がるサプライズ」
これから外れては行けない。
ギリギリのところでロボットに見せる。それがカッコイイんですよ。僕の中でだけかもしれないけど。
そんなわけで、これ以上造形をいじるつもりは毛頭なかった。
もっともっと掘り下げて、パイプロイド自身の中に何か光る物を探せないか・・!?
もちろん余分なアイデアもいっぱい出たし、試しましたよ。
パイプロイドのパーツに数字が書いてあって、ゲームにできるとか、
紙に良いにおいをしみ込ませて香水代わりにするアイデアなんか、実際いろんな芳香剤を買ってきて試してみたり。「お!キャラクターごとに香りが違うなんてどう!?」なんていいながら(笑)
そんななかで、あるキーワードに到達したんです。
それは、「パイプロイドが机にいてもいい理由を探す」ということ。
見せたい人にだけ見せるとか、飾りたい人だけ飾るのではなくて、
机に「必要」である理由。
答えはやはりパイプロイド自身に眠っていたんです。
それが、口をメモホルダーにするということ。
パイプロイドの出発点である「口」。それがこんなところで役に立つとは!
机にいてもいい理由、そして机を密かに侵略するというストーリー側からのパイプロイドの思惑。それがメモホルダーというアイデアを軸に「カキーン!」と音を立てて合致した瞬間を目の当りにして、鳥肌がたちましたこの時は!
*この話はパイプロイドの初期の開発の回想です